2011年07月09日
Prologue finishes

Alex Grey: Wounded Healer
ガブリエル、終わったよ。すべては過ぎ去った・・・。さあ、どんな気分だね?
ドンの歌は、バナナの葉のリズミカルな動きに合わせて、少し早いテンポの美しいハーモニーに変わっていた。
ガブリエルは、まだ深い淵の中にゆっくりと漂っていた。彼の内臓はあたりに撒き散らされ、頭は動体からポトリと離れた。
シャーマンによる聖なる歌が突然止まった。野鼠が、再びカヤカヤカヤと甲高い声をあげている。
「さて、君たち2人は、もう1回ハーブを飲まなくてはならない。仲間は、もうあちら側へ行っているよ。3名全員が自分の内側への旅をして“夜の主”であるレインボー・ジャガーに会わなくてはならないんだ。彼こそが、2012年の扉を開けてくれるんだからね。扉の向こうに、行けるかもしれないのだから・・・」
そう言われた虹虎だったが、その旅への燃料であるハーブはもう必要としていなかった。彼は完全に静かになりぼんやりと沈黙していた。
彼は、今、一歩先の世界を歩いていた。今、彼の目の前にはエジプト神話の女神であるイシスのゲートがあった。近づいてくる彼にむかって、イシスは微笑みながら言った。
「勇気を出したわね、わが息子よ。おかえりなさい!」