2007年11月20日

Vision Vine: Part 1

Vision Vine: Part 1

15年前にトランズダイメンション・ヴィスタという日本語の情報誌を
海外から日本人の読者に送った時代があります。その雑誌に記載された一つの「多次元物語」
の当時の私たちの翻訳したものがありますのでご紹介します:

インターネットで読んだ Earl Vickers 原作のVision Vine という作品を選らびました。
原作をここにシノプシスとしてまとめても、それでもシンボルとして表わしているパワーフルな
多次元的なメッセージを失わない作品でした。
          
ヴィジョン・ヴァイン

「おまえが他の世界で見てきた事を我々に分かち合ってくれ。」と酋長が尋ねると、そのウォリアー
は答えた。「その世界っていうのは、俺が今までに行ったことのない世界だったのさ・・・光眩しくて、
目が痛くなるくらいで、雑音はひどくておまけに混乱しているんだ。そして全く緑がないんだ。」

「どこにその世界はあるんだ?」と再びチーフが尋ねると、「わけがわからないんだが、ここのどこ
かに存在しているってことは確かみたいなんだ。俺たちがここに座っているのと同時にどこかでね。
そして時代は、人々がすごく強い魔法の力に目覚めて、俺たちの世界なんか一発で吹き飛んで
しまうほど恐ろしい武器もあるんだ。」

この種族の集会には、知られずして、こっそり話を聞いていた者がいる。アカールといって、
壁のすきま穴から中の様子を盗み見している少年がいた。その時の酋長の顔が今まで見たこと
もないほど寂しげな表情にアカールの目には、映ったのであった。

彼は混乱した頭を抱えてジャングルを歩いて行った。確かにチーフが集会で言っていた、俺たち
の文化も失われるし、俺たちの世界が消えていくって言ってけど、どう言う意味なのだろうと森の
中で考えていると、足元でジャガーの足跡を発見した。

それを追って行くと、アカールはすぐにジャガーが目に止まった。「ひとっ跳びで殺す」という言語の
意味をもつジャガーという崇高的な動物が視野に入ってきたのである。しかもツルを食っている
ではないか。

やがてジャガーが吐き出す度に身震いするのもアカールは見た。すると突然、そのジャガーは
アカールの真正面で目を見つめている。あまりにもの恐怖に彼は一瞬ジャガーから目を離すと、
そこにはもうジャガーはいなかった。アカールは、いつか部族の長老たちが、ヴィジョン・ヴァイン
(ヴィジョンを見るツル)とよばれるものについて語っているのを耳にしたことがある。しかもそれは
絶対に監督をするものなくしてひとりでは飲むものではないと言っているのも聞いた。

しかしこの最悪な状況を迎えた時だから、村で皆がやっていた儀式を思い出して一人でも飲ん
でみてもいいだろうと彼は考えた。そればかりか、自分たちの世界を守るためならば、かえって
長老から喜ばれるばかりではなく、晴れて酋長の娘、イシャとも結婚むできるのではと、アカール
は想像した。

近くの廃虚から壊れた器をひらってきて、切り落としてきたツルを細かく刻んでからやわらかくなる
まで、叩きつぶしたものを入れて煮る。夜暗い森の中で一人になったアカールは、できるだけの
勇気を呼び起こした。そして煮上がった殆ど吐いてしまいそうにもなったひどい味のするものを一
気に飲んだ。

突然、アカールはぶるぶると震えて冷や汗をかき始めた。「おお・・大変な事になっちまった!
俺はここで死んでしまうに違いない! 」というような恐怖で彼はすっぽり包まれてしまったのである。

すると急に自分が誰かに見られていることに気がついた。あのさっきのジャガーが戻っている
ではないか。「おまえはひと爪立てたオレに殺してもらいたい為に死のツル(アヤ=ツル、
ワスカ=死)を食ったんだな。」とアカールに語った。怒る大猫を目の前にアカールは震え声で、
「おっ俺は、おまえなんか、こっ怖くはない!」それを聞いたジャガーはその場で笑いころげな
がら、「おまえなんか怖く・・・ない」真似て歌いはじめた。

あまりにもの恐怖に、アタールはその場に吐くと同時に便も出る始末であった。それを見た
ジャガーは、ジャングルのフロアに寝転がってますます笑いが止まらない。笑いながらジャガー
は、「オレがおまえを食っていたのなら、こんな面白い会話はなかったぞ」と続けた。

To be continued


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Posted by エハン at 07:23 │Transdimension